秋の「極早生」と冬の「完熟」。同じ有田みかんでも、時期によって味が変わります。
みかんといえば冬の果物というイメージがあるかもしれませんが、和歌山・有田では9月下旬にはもう出荷が始まります。秋口に出回るのが極早生みかん、11月中旬以降に収穫するのが完熟のいわゆる一般的なみかんです。
どちらも品種としては同じ「温州みかん」。今回は、私たち池田鹿蔵農園が100年以上育ててきた有田みかんについて、時期ごとの味の違いと食べ方をご紹介します。
味わい
| 極早生(9〜11月) | 完熟(11〜1月) | |
|---|---|---|
| 甘み | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| 酸味 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
| 果汁の多さ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| 香りの強さ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
※柑橘の中での比較です。温州みかん(完熟)を甘み★4としています。
極早生は、酸味がややあり、さっぱりとした味わいです。みずみずしく、まだ暑さの残る秋口によく合います。皮や薄皮がやわらかいのも特徴です。
完熟は、酸が落ち着いて甘みが前に出てきます。とはいえ酸がなくなるわけではなく、甘みと酸味が重なった「みかんらしい濃さ」が出てくるのがこの時期です。
味の濃さ(池田評価)極早生 ★★★☆☆ 完熟 ★★★★☆
極早生のさっぱり感も、完熟の濃さも、どちらも有田みかんの味です。私自身は、毎年秋に極早生を食べると「今年も始まったな」と思います。そして年末に完熟を食べて、一年の出来を確かめるような気持ちになります。
園主・池田が実際に食べて付けています。
基本情報
| 分類 | みかん類(温州みかん) |
| 産地 | 和歌山県 有田地域 |
| 食べ頃・出回り | 極早生:9月下旬〜11月下旬 完熟:11月中旬〜1月下旬 |
| 種 | なし |
| 手でむけるか | むきやすい |
| 薄皮ごと | 食べられます |
| 大きさの目安 | 1個 約100g(Mサイズ) |
| 保存 | 冷暗所で1週間前後(極早生は皮が薄く、日持ちはやや短めです) |
時期で味が変わるわけ
みかんは、木になっている間も少しずつ味が変わっていきます。
実が若いうちは酸が多く、日がたつにつれて酸が減って、甘みが乗ってきます。秋口に収穫する極早生に酸味がやや残っているのはそのためです。完熟みかんは、そこからさらに数か月、木の上で待ってから収穫します。
つまり極早生と完熟の違いは、品種の違いと、木の上で過ごした時間の違いです。秋に早く熟す品種と、冬にかけてじっくり熟す品種。その違いが、味の違いになって表れます。
極早生みかんと完熟みかん
極早生みかん(9月下旬〜11月下旬)
その年いちばん最初に出回る有田みかんです。酸味がややあり、さっぱりとした味わい。皮が薄くてむきやすく、薄皮もやわらかいので、ついもう一つと手が伸びます。
ひと昔前の極早生は、「酸っぱいみかん」という印象を持たれがちでした。けれど近年は品種が新しくなり、早い時期でも甘みののった極早生が食べられるようになっています。
また、極早生はまだ暖かい時期に収穫するため、皮に緑色が残ったまま出荷されることがあります。みかんの皮がオレンジ色になるには朝晩の冷え込みが必要で、中身のほうが先に食べ頃を迎えるためです。青みが残っていても、中身はしっかり食べ頃です。
極早生みかんの主な品種
極早生みかんにはいくつもの品種があり、産地や時期によって育てられている品種が異なります。代表的なものをご紹介します。
日南1号は、宮崎県で見つかった興津早生の枝変わりです。極早生の中でも早い時期から出回り、各地で広く育てられています。
ゆら早生は、和歌山県由良町で見つかった品種です。極早生の中でも糖度が高く、酸が早く抜けるのが特徴で、おいしい極早生の代表格として広く育てられています。
YN26は、ゆら早生をもとに、有田川町にある和歌山県果樹試験場が育てた和歌山オリジナルの品種です。2012年に品種登録されました。ゆら早生のおいしさを受け継ぎながら、さらに早い時期に酸が抜けて食べ頃を迎えます。薄皮が薄く、口に残りにくいのも魅力です。和歌山県では「紀のゆらら」の名前でブランド化も進められています。
品種によって酸の抜け方や甘みののり方が少しずつ違い、近年はより早い時期から、甘くておいしい極早生が食べられるようになっています。
完熟みかん(11月中旬〜1月下旬)
木の上でじっくり熟させてから収穫する、冬の有田みかんです。皮は濃いオレンジ色に色づき、甘みと酸味のバランスがとれた濃い味わいになります。お歳暮や年末年始の集まりにもよく選ばれています。
完熟みかんの主な品種
11月以降のみかんは、「早生温州」と呼ばれる品種から始まり、年末に向けて「中生」「普通温州」と呼ばれる品種へと移っていきます。
宮川早生は、大正時代に福岡県で見つかった、早生温州を代表する品種です。甘みと酸味のバランスがよく、長く親しまれてきました。
興津早生は、静岡県の試験場で生まれた早生温州です。宮川早生と並んで、早生みかんの代表的な品種として広く育てられています。
中生・普通温州は、年末から年明けにかけて収穫される温州みかんです。味が濃く、日持ちがよい傾向があり、収穫後に寝かせてから出荷するみかんにも使われます。
なお、1月中旬からは、12月までに収穫したみかんを約1か月寝かせてから出荷しています。地域によっては「蔵出しみかん」と呼ばれるもので、池田鹿蔵農園では「熟成みかん」としてお届けしています。
有田という産地
和歌山県の有田地域は、400年以上の歴史を持つみかんの産地です。
山の斜面に石垣を積んだ段々畑が広がり、よく日が当たり、雨が降っても水がすっと抜けていきます。みかんは水を吸いすぎると味が薄まるため、この水はけのよさが味の濃さにつながっています。
池田鹿蔵農園も、この有田で100年以上、みかんを育ててきました。
おいしい食べ方
そのまま手でむいて
いちばんシンプルなのは、手でむいてそのまま食べる方法です。おやつや食後のデザートにぴったりです。内側の白い筋も取らずに、薄皮ごと口に入れてください。みかんはビタミンCが豊富なので、季節の変わり目や寒い時期の体調管理にもおすすめです。
極早生みかんは、気温が高い日は冷やして食べるのもおすすめです。
アレンジもさまざま
極早生みかんは、絞ってジュースにするのもおすすめです。さっぱりとした味わいなので、甘みが足りないときは、はちみつを少し加えると飲みやすくなります。
完熟みかんがたくさんあって食べきれないときは、ジャムにするのもひとつの方法です。
また、皮ごと冷凍庫に入れておけば、冷凍みかんとしても楽しめます。
秋は極早生、冬は完熟、年が明ければ熟成みかん。そして春から夏にかけては、また別の柑橘へとバトンを渡していきます。池田鹿蔵農園の一年は、この有田みかんを中心に回っています。同じみかんでも、よければ秋と冬、両方の味を比べてみてください。